少し場所を変えて話すことにした。

俺は屋上に来て、久翔と話すことにした。

「ねえ、久翔。」

「ん?」

「もし…さ、お前が親に虐待されてたら、親のことどう思う?」

「………………俺は……怖いかもしれない…、けど…………憎めないよ。…だって、親だもん。…………腐っても親。その人がいなきゃ、今自分は生きていないから。」

そう言った久翔の目はひどく寂しそう。

……そういえば、昔、久翔も家庭環境が複雑だった時があったらしい。

…だからこそ、言えることだよな。

「…………そっか。…そうだね……ありがと。」

「ううん。まあ、これはあくまで俺の意見なんだけどね。……PTSDだっけ。最近、回復してるのかと思ってたけど、悪化してるの?」

悪化……

言われてみたらそうなのかもしれない。

前までは順調に少しずつ回復していたけど、俺がおじさんと話したあの日…それ以来少しずつ悪くなってる気もする。

「…………悪化してるのかもしれない。…少なくとも、今は、体調も悪いから、そのストレスも加わってるのかもしれない。……悪循環だね」

「うん。…………朱鳥ちゃん__」

そう言いかけた時、けたたましい音が鳴った。

ピリリリリリッ♪

ピリリリリリッ♪

それは、俺のPHSだった。