「こんにちは、朱鳥さん」

「………………」

今日は、北斗に家まで来てもらって、カウンセリングを行ってもらう日。

早速、カウンセリングを始めてもらおうと思ったんだけど…

朱鳥は、涙は流してはいないものの、北斗を見ると、一気に怯えの表情を見せて、少し震えながら、固まってしまった。

「ごめんね、急に知らない俺なんかに来られて、ビックリしたね。大丈夫って言われても怖いと思うから、今日はまず、俺に慣れてもらうところから始めようね。」

そう言って、北斗はカバンから、いくつかお菓子を取り出すと、机の上に置いた。

「これ、どうぞ。朱鳥さんが好きかはわからないけど、俺のオススメのお菓子用意してみたんだ。まずは、これでも食べながら一緒にお話しよう」

俺は、フリーズしてしまっている、朱鳥の肩をポンと軽く叩いた。

「朱鳥、このチョコ美味しそうだよ。」

そう言って、朱鳥に手渡してあげると、朱鳥は少し不安そうにしながらも、チョコをひとつ口に含んだ。

「朱鳥さん、美味しい?」

コクン

無言だけど、朱鳥は、少しだけ北斗の方を見て頷いた。

それを見た北斗は、少し微笑んでメモをとる。

「朱鳥さん、少しお話してもいいかな?」

コクン

「ありがとう。お話って言っても、全然普通の世間話だから、リラックスしていいからね。」

コクン

「朱鳥さん、お子さん二人いるんだっけ?」

コクン

「名前なんていうの?」

「……葉月…と…………柚月……です…」

「あぁ、そっか双子ちゃんだったっけ。可愛い名前だね。」

そう言われて、朱鳥は少し嬉しそうに表情を緩める。

「今は保育園?」

「はい…」

「そっか~、可愛い双子ちゃん見たかったのに、残念だな。」

「……あ、写真…なら…………あります…」

そう言って、朱鳥は、携帯を操作して二人の写っている写真を北斗に見せる。

「うわぁ、えっ、めっちゃ可愛い!!葉月ちゃんは、朱鳥さん似で可愛いし、柚月も楓摩に似てイケメンだね」

「…………」

朱鳥は、無言ではあるけど、すごく嬉しそうな顔をして、俺に、微笑みかけてくれる。

「よかったね、朱鳥」

そう言ってあげると、朱鳥はコクンと笑顔で頷いた。