プルルルルルッ♪

プルルルルルッ♪

数回のコールのあとに、落ち着いたトーンの声

『もしもし、白井です。』

俺が電話をかけた相手

白井 北斗(しらい ほくと)は、俺が朱鳥のことを相談している精神科医。

この病院では働いてないけど、家の近所のクリニックで勤めている。

「もしもし、北斗?俺、楓摩。」

『あぁ、楓摩。どうしたの?あれ、奥さんのこと?』

「……うん。ちょっと、本格的に自分のこと追い詰めてるみたいで、心配だから…」

『そっか、そっか。楓摩も充分話うまいけど、それでも折れるって…相当大きいトラウマ抱えてるんだね、可哀想に。……わかった。じゃあ、今度カウンセリング行くよ。』

「助かる。」

『あ、あぁ、でもちょっと待って。その前に、少しお願いがあるんだけどさ』

「うん」

『まずは、奥さん…んーと、朱鳥さんだっけ、を退院させてあげて。多分、入院したままっていうのも、ストレスの一環になってると思うから。…それと、ちゃんと朱鳥さんがカウンセリングを受けないとダメな状況にあることと、自分だけで追い詰めなくていいことを伝えてあげて。』

「…うん。わかった。いつも、丁寧にありがとな。助かる」

『いやいや、別にそんなつもりは無いけど、職業柄かな。ま、いいや。俺もまだ仕事あるから、すまないけど切るよ』

「うん。ありがとう」

『いえいえ、じゃ、また今度連絡するね』