楓摩は優しく声をかけてくれる……けど、私は、情緒不安定なのか、まだ否定的になっちゃって

「でもっ……でも…………」

そう口ごもって、また視界が涙で滲む

涙はそのまま重力に従ってパタパタと落ち、布団にシミを作る。

私って、いつもそうだ。

大丈夫だよ

って言われた瞬間は安心できるのに、いつの間にか疑って…

人のこと、否定的に見すぎている。

それは、わかってるのに、直せない……

心の問題って、案外病気よりも大変なのかもしれない。

そんなことを思って、私は大きくため息をつく。

すると、急に楓摩が私の口を手で抑えた

びっくりして楓摩を見ると、楓摩は手を外してくれて

「ため息はダメ。……幸せ、逃げちゃうよ?」

とイタズラっぽく笑った。。

「朱鳥は、ずっと不安なんだね。大丈夫って言われても、不安なものは不安だよね……。そりゃそうだ。朱鳥の不安が無くなるならいいけど、不安が無くならない不安を抱えちゃったら、もう悪循環だよ?『"もしかしたら〇〇かもしれない"っていう不安を抱いちゃうかもしれない』ってさ」

私の髪の毛をすくうように撫でながら楓摩は言葉を続ける

「朱鳥は、自分を責めないでいいんだよ。…逆に褒めてあげて?こんなに、辛いこと続いて、それでも諦めないで毎日頑張って偉いな自分って。自分を褒めたら、そのうち前向きに考えることも出来るようになる。……それまで、ゆっくりのんびり治していこう?」

コクコクと小さいながらも首を何度も縦に振る私に、楓摩はもう一度笑った。

少し、心の傷が穴がふさがった気がした。