「ねぇ…………楓摩…」

「ん?なぁに?」

私は、楓摩の白衣の袖をキュッと握ってから、おもむろに口を開く。

「………………私って……なんで、こんなにダメなんだろう…」

「…………」

「私、失敗とか、人に迷惑かけることばっかり…。やっと、治ったと思ったのに………もう、どうすればいいかわかんないよ……わかんないよ…わかんないっ!!」

心の中の気持ちを吐き捨てるように、そう言い放つ。

楓摩も何も言わず、なんとなく気まずい雰囲気。

私は、その空気に耐えられなくて、布団に潜ろうとした。

その時

再びさっきの楓摩の温かさが伝わってくる。

少し見渡してみると、私は楓摩に抱きしめてもらっているようだ。

「朱鳥、焦らなくていいんだよ。焦らず、ゆっくり、1歩ずつでもいいから、進めば、いつかはゴールに辿り着く。…病気は治ったんだよ。朱鳥は、人生1番の最高関門をクリアした。……だから、大丈夫だよ。…命ある限り、やり直しなんていくらでもできるから。大丈夫、大丈夫。みんな、朱鳥の味方だしね。

だから、安心してね

俺も、みんなもついてるからさ」