"そっか、そっか。"

そう言って楓摩は、私の話を全部聞いてくれた。

"朱鳥、じゃあさ、一旦、目つぶって"

言われたとおりに目をつぶる。

"リラックスしていいからね。俺の質問にはい か いいえ で答えて"

「うん……」

"最近、眠れてますか?"

「…いいえ」

"最近、疲れる と思うことが多いですか?"

「はい……」

"…………最近、ちゃんと、笑えてますか?"



笑う……?

笑ったっけ……?

「……いい…え………………」

"そっか。うん。ありがと。もう、目開けていいよ。"

そう言われて、目を開けると、また涙が出た。

"怖い夢の原因は、多分緊張とストレスかな……。ストレスが溜まって怖い夢みて、さらにストレス溜まって……っていう悪循環。…無意識かもしれないけど、朱鳥はすごく笑う子なんだよ?…だけど、笑えてないってことは、それだけストレスも溜まってるんだね。"

なんで……さっきから、胸がつんつんして涙がいっぱい出てくる。

"無意識のうちに、いっぱい頑張って、頑張りすぎちゃったのかもね。碧琉くんとかに聞いてるよ。朱鳥が、頑張ったから、病状もちゃんと良くなってるんだよね?じゃあ、きっと大丈夫だから、ちょっとリラックスして、体の力、抜いてごらん。少しは、良くなると思うから"

楓摩は、電話の向こうにいるはずなのに……

だけど、すぐそばにいてくれているような安心感。

楓摩は、それからしばらく電話を続けてくれた。