"もしもし、朱鳥。"

「…も、しもし……」

"久しぶり。ごめんね、電話かけるって言ってたのに遅くなっちゃって"

「ううん。……大丈夫。」

久しぶりに聞いた楓摩の声。

なんだか、少しだけ安心した。

でも、それと同時に寂しさもこみ上げてくる。

"朱鳥。普段は我慢してるだろうけど、今だけは我慢しなくていいよ。俺、何も出来ない代わりに、愚痴でもなんでも聞いてあげるから。声、すごく悲しそうだよ?"

「……やっぱり、楓摩にはなんでもお見通しだね。」

そう言って少し笑うと、一緒に涙も出てきた。

「ごめんね…楓摩。私、また弱くなってた。……また、嫌な自分になってた。…ごめん……ごめんね」

"大丈夫。大丈夫。事情はある程度碧琉くんから聞いたから。大丈夫だよ。謝らなくていい。辛いのは朱鳥なんだし、謝る必要はないよ。"

「…でも…………私、また最低なことした。」

"……たしかに、朱鳥が自分のことを傷つけるのはよくないね…。だって、それをやったって、朱鳥は楽になれない。苦しい一方だよ。"

「……だよね…」

やっぱり、楓摩も内心は怒ってるよね……

そりゃ、そうだよ……

私は、楓摩がくれたチャンスも全部台無しにしようとしてたんだから……

"でもね。朱鳥は、自分でそうやってやろうって思ったわけじゃないしょ?苦しくて、辛くて、ついやっちゃったんだよね……。"

私は、楓摩のその言葉を聞いて、もっと涙が出てきた。

…やっぱりお見通し。

"だからさ。そんなに気に病まないで。大丈夫。誰も、怒ってないから。ただ、朱鳥が心配だっただけだよ。…朱鳥、苦しい時はさ、声に出していいんだよ?なかなか、面会も出来ないらしいけど、そのちょっと会える時に、苦しいことは碧琉くんに伝えてみて。それだけで、きっとだいぶ改善されるから。朱鳥は一人じゃないからね。みんな、朱鳥の味方だし、朱鳥を支えてるから。"