「碧琉くんは、留学とか、考えてる?」

「へ?」

「あ、えっと、嫌なら嫌でいいんだけどさ、碧琉くんは医者を目指してるよね?」

「あ、はい。」

俺は碧琉くんのその意志を確認してから、スっと朱鳥の方に目線を移した。

「…朱鳥、アメリカでしばらく治療するんだけどさ、俺、ついていけないんだ。……それでなんだけど」

そう言って、俺は1枚の紙を取り出す。

「朱鳥はこの病院で治療を受ける。俺の知り合いの日本人もいる大きな病院。…ここで、朱鳥の付き添いがてら、短期留学って形で最新の医療を少し学んでこない?」

俺がそう言うと、碧琉くんは、少しポカンとしたあと、めをパチパチとさせた。

「えっ、俺……いいんですか!?ここ、すごい有名だし…」

「うん。俺から、その知り合いの先生に話はしておいた。……もし、碧琉くんがいいなら、行ってくれる?」

「はい!もちろんです!!」

そう言った碧琉くんの目は輝いていた。

碧琉くんなら、きっとしっかりしてるし大丈夫。

朱鳥の事はしばらく頼んだよ、碧琉くん。

俺は心の中でそう、そっと思った。