「________アメリカでの治験に参加してみない?」







そう言われた俺は、口を開けてポカンとした。

「え、治験……?」

「うん。俺、どうしても朱鳥ちゃんの事助けたくて、調べたんだ。そしたら、今、アメリカでの治験の募集を見つけた。…まだ、治験段階だけど、医療の世界では先を行くアメリカだ。受けてみる価値は…あると思う。」

そう言って、久翔に渡されたのは数枚の資料。

俺は、パラパラとその資料を読む。

"末期のガンを治す薬の最終実験"

"サルを使った実験では成功"

と言った、安心させるような英文の中

"強い副作用の可能性あり"

"体の弱い患者さんは、体力が持つかわからない"

と言った、心配になるような英文なんかもある。

「少し、心配な点もあるけどさ、悪い話じゃないと思うんだ。治験が成功すれば、朱鳥ちゃんの病気は治るし、報酬だって貰える。体力作りなら、そのために、これから頑張ればいい。それで、体力がある程度つけてから、アメリカで治療する。……そうすれば、このまま、この病院で死を待つだけよりも…何倍もいいと思うんだ。」