「朱鳥っ?」

ハッと目を開けると、そこには心配そうな楓摩の顔。

……あ、また私、夢見ちゃってた…

そう思うと、寂しさと悲しさ、怖さが蘇ってくる。

…私は、無意識に楓摩に抱きつこうとしていた……

だけど……

私が手を伸ばして当たったのは、ビニールの壁。

あ、そっか……無菌室…だもんね…………

その事を気付いた途端、今まで起き上がれていた体の力が抜け、ベッドに倒れる。

「朱鳥っ、大丈夫?熱、計るよ。」

ピピピピピッ♪

ピピピピピッ♪

楓摩に見せてもらった体温計には、39.2。

また、熱出ちゃった……

少し、憂鬱な気分になる。

…すると

キュッ

楓摩は、そう、私の手を握ってくれた。

楓摩の手……温かい…

「朱鳥、ごめんね。ギュッはしてあげられないけど、これで我慢して?頑張れ」

コクン

私は、そう頷いて、涙を一粒こぼした。

私、最近、また泣き虫だな……

そう思った日だった。