【side陰人の王】


真っ赤な王座に腰をドスンと下ろす。


「あの書類は向こうに送ったんだろうな?」


「はい。お送り致しました」


「向こうは恐らく断るだろう。そうなると再び戦争が始まる。これを機会に向こうを侵略してしまおう」


「先代からの遺言にもありますね」

俺は陰人の特徴である、光が受けつかない体で生まれた。

日の光も月の光も写真でしか見たことがない。

浴びると灰になってしまう為、外では黒いフードが必須となっている。

「………………ついに争いの歴史に終止符を打つ日がきたか」


先代から、陰人と麗人は争い続けた。

麗人は我らにとっては害だ。

排除しないといけない。


父上が死んだのも、母上が消えたのも、全部…………全部麗人のせい。

「では、王様失礼致します」

「あぁ。お前は父上の時からの側近だったな。頼りにしてる」


「そう言ってもらえるなんて光栄です」














王室から出たその側近は、ドアの前で不気味に微笑む。


「そうです、王様。貴方様は麗人を憎むのです。陰人がこの地の頂点であると周りに見せつけるために。前王様は麗人と和解しようとした。それはいけないこと。駒である貴方がしっかり役目を果たしてもらわないと、暗殺した意味がないでしょう………?」


_____ニヤリ………。