それにこの声って…………………幸斗さんだよね?


いつもなら私の部屋の近くなんて歩かないのに。


寝てるふりしてれば気づかれないよね?


「…………………」


「夜分に失礼します。姫様起きていますよね?」

何で分かるの…………。

やっぱり聞こえてた?


「私に寝てるふりなど通用しませんよ」

………………これは確実に逃げれないパターンかな。

「…………………何で分かるのですか?」

ゆっくりと起き上がり、幸斗さんの方を向く。

「もちろん分かりますよ。感がいいもので…………それに姫様に関することなら何でも」

ある意味怖い……………。

「その目……………やはり泣かれてましたね?」

あ、もう目が腫れてるの!?

「ちょっとお待ちください」

幸斗さんはいきなり立ち上がると部屋から出ていった。

そして、戻ってきたと思ったら、片手にタオルを持っていた。

「冷たく濡らしたタオルでございます。取りあえず明日目が腫れないようにの応急処置としてお持ちしました」

「あ…………ありがとうございます」

確かに受け取ったタオルはキンキンだった。

「姫様の可愛い顔が腫れたりなんかしたら蓮から怒られるかなね(笑)」

いや…………………蓮さんは怒らないと思うなぁ。


たぶん、気分を紛らわせようとしてくれてるんだね。

「幸斗さんって優しいですね」

「そんな……姫様に言っていただけるなんて光栄です♪」

優しく微笑む顔に心が落ち着く。


「……………………もう大丈夫のようですね」

「あ…………すいません……」


「人は時に泣きたいときもありますよ。この事は誰にも言いませんのでご安心を♪」


幸斗さんはきっとこの城の中で1番優しい人だと思う……。

「泣きたくなったら無理をせず、私の胸で泣いても構いませんから♪笑」


優しく私の頭を撫でる。

すごくホッとする……………………。

「では、おやすみなさい」

そう言うと幸斗さんは部屋から出て行った。

スゴく心が穏やかになった………涙も止まったし安心して寝れそうだ。

目を閉じてみると、簡単に眠りにつくことができた。