「今日も疲れた~~~~」

亜美と部活終わりに昇降口の自販機でイチゴミルクを飲む。

「なんか最近みんなコンクールモードになってきていいよね」

興奮気味に言う亜美にふふっと笑う。

「鼻、膨らんでる」

えーっ!と言う亜美を見ながら歩きだそうとすると、ふわっと暖かい風の音が聞こえた。

「だぁかぁらぁ~、俺だってブランクあんだっつーの」

サッカー部の男子と一緒に先生が歩いてくる。

「あ、先生」

「ん?ジャージだ」

ジャージ姿でサッカー部とじゃれてた先生は私たちに気付くと、また、おうと手を上げた。

「じゃーな、ほうちゃん、またサッカーやろうぜ~」

サッカー部が帰っていくと、先生が近づいてきた。

「サッカーやってたんだ。てか、ほうちゃんって」

お腹を抱えて笑う亜美に先生は、ははっと笑う。

「めっちゃ鼻膨らんでる」

「ええっ!」

おんなじこと言われてる。

「鼻膨らんでますよ、亜美さん」

私の名前知ってんだーと言う亜美に先生は、もちろんと頷く。

「じゃぁ、この子は?」

「チホさん」

「ぶっぶー、はずれ~」

えっと意外そうな顔をする。

「私は……」

なんだろう、上手く話せない。

部員や大勢の人の前でも緊張しないのに。

「私は……幸穂です。サチホ」

先生は、そっか、と白い歯を見せた。

「だから、チホなんだ」

つい俯いてしまう。

胸がざわつく。

なんだろう、早く離れたい。


「じゃ、暗くなるから気を付けて帰るんだぞ、亜美さん、サチホさん」

踵を返す先生に亜美は

「気安く呼ぶなー」

とからかっていた。



「なんだろう、亜美、私、先生と話せない」

「だろうね」

亜美は私の顔も見ずに即答した。