亜美に話しながら、ゆっくりと歩いて帰る。

「翔太もだけど、ミカはもっと許せないね」

かっかと怒る亜美を冷静に見ることしかできない。

「だいたい、チホもガツンと言わな……」

言いかけて、亜美が目を見開く。

「ごめん、チホ、ちょっときつく言い過ぎた?」

え?と聞き返すと同時に、頬に暖かいものを感じた。

あぁ、私、泣いてるんだ……。

翔太にフラれたことが悲しいのか

ミカに裏切られたことが悲しいのか

頑張って作ったチョコレートを貰ってくれなくて悲しいのか


なんだか分からない。

ただただ、胸が痛い……。

「胸が痛いよぅ……」

やっと絞り出した声は、地面に落ちた。

黙って抱きしめてくれた亜美も泣いていた。