俺の肩を押し、体を離す。


じっと見つめる大きな瞳に吸い込まれそう。




黒目が自分が映っていて、きっと俺の瞳も琴乃しか映していない。





頬に手を添え、キスをしようと少し顔を傾けて近づいた。





「だーめ!」





いつもならそんなことしないのに、琴乃は指でバツを作って俺の唇に当ててきた。





「髪乾かすのが先!
はい、場所交代!」



ドライヤーを持ち、俺をソファから引きずり下ろす。

俺の後ろに琴乃が来て、髪を乾かし始めた。



キスを拒まれたことで少し不機嫌だったけど、琴乃が俺の髪を触っていることが気持ち良すぎてそんなの忘れた。





髪の毛、一本一本に神経が通っている感じがする。


触れられる手が優しくて気持ちよくて心が落ち着く。