「え!
自分でするよ!!」
「俺がしたいの」
「でも……」
だけど琴乃の言葉を無視して髪を乾かす。
綺麗な黒髪で触っていて心地よい。
出会ったときよりも伸びた髪。
手で揺らしながら温風を当てると、いつもの琴乃とは違う匂い。
俺と同じ匂い。
やっぱだめだ。
ドライヤーを切る。
「ありがとう」
髪を乾かしてもらことが恥ずかしかったのか、それとも温風が熱くてなのか。
頬を赤く染めた琴乃が振り返って、上目使いでお礼を言った。
そんな琴乃を抱きしめる。
「司くん!?
髪がまだ……」
「自然乾燥」
「だめだよ。ちゃんと乾かさないと風邪引いちゃう」



