ドア越しに声をかけるとそんな焦った声。
このドアの向こうに琴乃がいると思うと、やっぱりやばい。
湯船に浸かってるのか、水滴が落ちる音や琴乃が動いたときの水音がやけに響いて聞こえる。
本気でやばい。
まだ見ぬ琴乃の姿を想像してしまう。
変態か。
俺は変態だな。
もういますぐにでも、このドアを蹴破ってしまいたい衝動に駆られる。
「つ、司くん……?」
「んー?」
「や、やっぱりまだそこにいるの?」
「いるよ」
「もうお風呂代わるから、その……」
「上がってきたら?」
「ちょ!司くんわかってて言ってるでしょ!?」
あ、怒ったかな?
琴乃は照れ屋だからね。
さすがにこれはいじめすぎか。



