「……うん」 こくりと頷くその仕草さえ、いまは色っぽく見える。 だめだ。 本当にだめだ。 なんか、すでにやばい。 再び琴乃の肩を抱いて雨の中に飛び込む。 お互いなにも話さなくて、雨音よりも心音のほうが際立って感じる。 自分のか、琴乃のか。 はたまた両方なのか、それはわからない。 吐きそうなほど緊張して、そこまで近くないはずなのに家に着くのは一瞬だった。 「……どうぞ」 「……お邪魔します」 緊張感が漂う中、鍵を開けて玄関に入れる。