司くんは心配したような眼差しで私を見る。


そして、目に浮かぶ涙をそっと指で拭う。






「琴乃と話す時間をくれてありがとう」


「ん」


「僕みたいに悲しい思いをさせることはしないで」


「わかった」


「じゃあ、もう行く。
これからも頑張るから、またいつか会おう。
それまでバイバイ」





小野寺くんの瞳にはもう涙なんてなくて、前を向く光に満ちていた。



お互いの時間が一緒に流れることはもうないけれど、共に過ごして時間を重ねた日のことは忘れない。





「ばいばい」




ありがとう。



小野寺くんとの時間は何年経っても特別だよ。


幸せになってね。



その日まで、さようなら。