「琴乃、司くん。
早く来てー」
「あっ!わわっ、いま行く!!」
焦ったように声を上げて俺から離れる琴乃。
そしてすぐに俺に背を向けるから、なんだか愛しくて肩に手を置いて振り向かせる。
驚いたような琴乃の額に軽く唇を押し当てた。
ポカンとした表情がみるみるうちに赤く染まっていく。
「なっ……ちょ……っ!」
「ほら、呼ばれてるよ」
「んむ~!!」
琴乃の背中を押せば、意味のわからない声を出す。
きっと怒ってる。けど、怒っていない。
そんな時の琴乃の反応。
琴乃について行けば、おいしそうな料理の匂いが届く。
テーブルにはすでに料理が並べられていた。



