この恋は、きみの嘘からはじまった。





「司くん、ごめんね。
お母さんけっこうグイグイくると思う」


「別に。
それは娘のこと、娘の彼氏を知りたいってことだからいいお母さんだと思うよ」





娘が変な男と付き合ってたら嫌だからそりゃ知りたがるよ。


それくらい覚悟の上だ。




最初に近づいた動機が最悪だから琴乃にはふさわしくないかもしれない。



だからこそ、いまから琴乃にふさわしい彼氏になろうって心から思うんだ。







「司くん……」





琴乃が俺の服の裾を両手でちょこんと掴み、俺に体を寄せて控えめに引っ付いてくる。



かわいすぎるその行動に、いますぐキスして押し倒したい衝動に駆られるけど、心の中でしてきた決意を無にするわけにはいかない。




だから必死に堪えて、頭を撫でるだけにとどめた。