「お邪魔します」
「はい、いらっしゃい」
俺の言葉に優しい声で迎えてくれる琴乃のお母さん。
やっぱり似ていると思った。
「これ、良ければどうぞ」
「まぁ、わざわざご丁寧に。
ありがとうね」
家の近くのカフェで買ってきた焼き菓子を渡す。
ケーキか迷ったけど、ケーキにしなくて良かった。
絶対に溶けてたから。
「じゃあお昼にしましょう。
いっぱい作ったの。
司くんは食べられないものない?」
「ないです」
「そう。なら良かったわ」
そう言って先に部屋に入って行く。
性格は琴乃と少し違うみたいだけど、優しくて温かいのはわかる。



