それに、ふたりきりならまだしも、今日は母親に紹介したいって言われていくことになっている。
いや、ふたりだと確実に襲ってしまいそうだからどっちもどっちかもしれないけど。
どちらにせよ、彼女の家に行くっていうだけでも緊張するのに、母親に紹介だなんてもっと緊張する。
いままで彼女というものがいなかったわけじゃないけど、そんな付き合い方はしてこなかった。
琴乃みたいに一緒にいて話したり、昼休みを過ごしたり、遊びに行ったり、たまに触れ合ったりっていう特定の存在のことを彼女と呼ぶのなら、いままでのは彼女とは呼べないかもしれない。
とにかく親と会うなんて初めてだから、昨日もあまり眠れなかった。
こんなことは初めてで、自分でもダサいなって思う。
「俺、ちゃんとできるかな」
好きな人の親に会うんだから、ちゃんと認められたいって気負ってしまう。
俺みたいなだらしない男に娘を預けるなんて、俺が親なら絶対嫌だし。