「で、なに?」
「早く戻って来いよ。
練習できないだろ」
「そうだぞ!
シンデレラを置いてく王子様なんてっ……」
「はぁ……わかった。
じゃあ、あとで」
そう言った如月くんは私の前髪を上げておでこにちゅっと音を立ててキスをした。
そして微笑みながら、私の前髪をまた戻して整える。
「待ってるから」
「う、うん……」
笑顔で手を振る如月くんだけど、私は返すことができない。
わざわざ前髪を上げてキスなんて……。
おさまってきていたはずの心臓がまた大きく音を立て始める。
「シンデレラの前で堂々と!最低!」
「うるさい」
「俺の桃瀬ちゃんを返せ!!」
「お前の?
ちょっと殺意わく」
「待て。まじな目はやめろ」



