それからも仁科先生は時々昼休みの屋上に煙草を吸いに来た。



先客の私には

「よぅ。」

と挨拶するのみで、まるで邪魔しないようにでもしているのかそれ以上話し掛けて来ることはなかった。

ましてや屋上は立ち入り禁止だ、とか、授業をさぼるな、とか説教することもなかった。



だから私は始めこそ先生が疎ましかったけれど、いつしか気にならなくなっていた。



空と風、それから光。



それさえあれば誰が居ようが居まいがなんら関係ない。



それも仁科先生みたいな腰掛け教師、私にとってその存在自体が取るに足らない、眼中にないものだった。