でも まだ諦めきれないアタシがいる。
すっかりあたりは うす暗くなり 廊下にも明るい電灯が灯されていた。
だいぶん生徒の数は減ったものの まだ数名は残っているようだ。
心残りなまま アタシは階段を後にした。
……でも。
もしかしたら先生が思い出して
階段に来るかもしれない。
そうなればきっとアタシは後悔する。
そんな考えが頭を横切り アタシの足の方向を変えさせた。
走って4階に行き 先生が来ていないことを確認する。
荒く吐き出されている吐息の中に また別の意味の吐息が混じった。
やっぱり先生は 忙しいみたいだった。
何回か行ったり来たり を繰り返してみるものの その日は約束を交わしたとき以来 先生と話すことはなかった。

