「くわぁ!!マジで疲れた………」
隣でヨタヨタとした足取りで歩く奈美を支えて バカな話で盛り上がりながら教室に足を向けた。
「だよねー。」
ふと2階を見ると中田先生がたくさんの女子に囲まれて 笑いながら話をしていた。
止まる意志がないのに 足がピッタリとその場に固定された。
確かに あれだけ優しくて おもしろかったら 生徒には人気だろう。
そう思っていたのに いざ そういう場面を目撃すると なぜかショックを受けている自分がいた。
そして 自分の気持ちの中で ドロドロとした感情が流れ出す。
『アタシの前だけで笑ってほしい』
『アタシだけを見てほしい』
相手は教師だから そんな想いも届かないと分かっていながらも いつの間にか そう思うようになっていた。

