ルイに抱きしめられたまま、私は最後の攻略対象者の名を口に出す。


「三人目は、ノア・リード。私の一つ年下の従兄弟よ」

「なぜ従兄弟が……」

「法律上は結婚できるんですもの。仕方ないわ」


ノア・リード。

リード侯爵家の当主さまであるノアのお父さまと私のお母さまが兄妹で、正真正銘の従兄弟である。


また、伯父さまは宮廷内で『鬼宰相』なんて呼ばれているけれど、ノアはそんなことを感じさせないくらいかわいい。

くるっくるでふわふわした淡い水色のくせっ毛に、すみれ色のまん丸とした瞳。


実は伯父さまとノアが血が繋がっていないと言われても信じてしまうくらいだ。