「ごめんなさい、ルイ。言ってはいけないことを言ったわね」

「……はぁ、滅多なことを言わないでください。俺こそ捨てられる立場なんですから」

「いいえ、私は絶対にあなたを離さないわ。だから、あなたもそんなことを言わないで」

「お互いに、ですね」


今、私たちを繋いでいるのは『好き』という気持ちだけ。

不安定な関係は、いつ、どうなるか分からない。

お父さまが本気を出せば、フォスター伯爵家を取り潰すことができる。

ただそうしないのは、フォスター伯爵家の評判が悪くないから。

そんなことをしてしまえば、ダンカン公爵家と言えども非難される。