「だけど、カイルについては問題ないわ。昔から一緒にいるんですもの。私を好きになるはずなんてないわ」
「……それは俺も一緒なんですけどね」
「いいえ、ルイとカイルは初めて会ったときから違うもの。あなたは私が公爵令嬢だと知らなくても仲良くしてくれたわ。カイルがダメなわけじゃないけれど、私にとっては大切なことよ。……だからね、ルイ。あなたが嫌になったらいつでも私を捨てていいわ。あなたにはその資格があるんですもの」
「リア! 俺は望んで貴女と恋人になっているんですよ!? そんなことを言わないでください!!! そもそもそんな話を今していないでしょう!?」
抱きしめられる。
離れることは許さないと言わんばかりに力強く。
私はルイの腕の中で密かにホッとするのだった。
ルイを縛るつもりはないのだけれど、私がいることでルイの周りに人がいないことも事実。
きっと、私がいなければルイにだって友人くらいはいたはずだ。
ダンカン公爵家に睨まれるということは、そういうこと。
わざわざ好き好んで不利益を被るような物好きはいない。


