エドワード様のことは忘れ、私は甘えるようにルイへ寄りかかると、とうのルイから押し返された。
ムッとして非難の目を向けると、冷ややかな目が返される。
学ばない私も私だ。
甘えるのは、話を終えてかららしい。
「二人目は、ルイもよく知っているわ。カイル・ミラーよ」
「……はぁ!? カイルって、あのカイル!? 俺と友人の!?」
「らしくもなく声を荒らげるほど驚いたのね……。そうよ、ミラー公爵家の三男で私たちの幼なじみであるあのカイルよ」
カイル・ミラーとは、公爵家の一角を担うミラー公爵家の三男。
上に兄が二人もいるものだから、自分が家を継がなくて済むので、毎日女の子たちと遊び歩いているチャランポラ──いや、フェミニストだ。
たとえ女の子たちに囲まれていたとしても背が高いのですぐに分かり、燃えるように真っ赤な髪や深紅の瞳は、どこに行っても目立っている。
最近は長い髪を横に流して三つ編みにしていた。
イケメンは何をしてもかっこいいので、さらにファンも増えたようだ。
中学生になったばかりの今でさえ女好きだというのに、これからの将来を思うと頭が痛くなる。
そして私たちの数少ない友人である。
下手に家柄が良いものだから、お父さまはエドワード様がダメだったら、私をカイルに押し付けようとしているフシがある。
女好きはこちらから願い下げです。


