もしかしてまた病院ですか?と聞くのも怖い。
だけど、このまま無言でいるのはもっと恐怖。


「もしかして、あの……病院ですか?』


目の前の彼はあんぐりと口を開け、一瞬何言ってんだ?と怒鳴りたくなるのを我慢したかの様に見えた。

それからぐっと息を止め、大きく吐き出してから声を発した。


「もしかしなくても病院だ。昨夜あんたが吐き気を訴えて倒れ込んできたから」


「えっ!何処の!?」


あたた…と頭を押さえ込みながら顔を歪めれば、ドクターはアホか…と一言罵声を浴びせて。


「俺が運ぶとしたら自分の病院に決まってるだろっ!」


怒鳴る声が頭の芯に響く。


そうですよね。
それしかないですよね。


頭の中でそう頷きながらへらっと笑って誤魔化すことも出来ず。


「……全く、あんたは」


そう言うとドクターは腕を伸ばし、私の右手首を取り上げた。
親指の筋に人差し指から薬指までの三本をあて、どう見ても脈を測ってるみたいだ。



「気分はどうだ」


測り終えたのか手首を掴んだままそう言った。