皆、実際の彼に会わないもんだからどうでもいいみたい。私は明日もあの怒鳴り声と毒舌を聞かされる羽目になるのに。


あーあ…と溜息を吐いてアラームとバイブをセットする。
明日は仕事もあるし、絶対に寝過ごせないと思って目覚まし時計も電池を交換してセットした。


夢の中では藤田くんのお兄さんが笑いながら私の傷口を縫い付けてる。

その生々しい感触は朝になっても残ってて、実にイヤな夢を見たな…と思いつつ起き上がった。


ぼうっとしたままお湯を沸かしてたからだろう。
電気ケトルの蓋が半開きなのに気付かず、取っ手を傾けたら蓋がいきなり開いて驚いた。


「うわっ!」


咄嗟に手を離してしまい、ケトルはひっくり返ってお湯が足元にかかった。


「熱っ!」


スリッパの上からでも熱湯がかかれば熱い。
直ぐに脱いでお風呂へ直行し水道の水をかけたけど……


「うわ~ヤバい……」


どう見ても指先が赤い。
ジンジン痛むし、何となく水疱が出来てる。


「もしかしてこれって火傷?」


もしかしなくても絶対にそうだ。
打ち身と切り傷の次は火傷。
一体ナゼ……