お願いドクター、毒よりも愛を囁いて

本当の理由は彼が包帯を巻けないと言ったから。
縫うのが好きなくせに包帯を巻くのは嫌いらしい。



「それは元来ナースの仕事なんだ」


「ええ〜!?本当にそうなんですか〜!?」


半信半疑だけど信じてやった。
イケメンで口の悪いドクターにも少しは苦手な部分がないと面白くないから。



「……あら、あなた昨日の…」


出勤してきた原さんは診察台に寝てる私を見つけて、どうしたの?と聞いた。


「今朝、グラスで手を切っちゃって。病院と言ったら此処しか思い浮かばなかったもんですから」


「えっ!?じゃあまた時間外に来たの!?」


「はい、まあ」


えへへ…と笑えば原さんは唖然とした表情で。


「よくドクターが治療してくれたわね。あの人、なかなかそういうのしてくれないのよ」


奇跡だわ〜と驚きながら手慣れた調子で膝と手に包帯を巻いてくれる。


「ひょっとしたら、昨日のあなたが余程悲痛そうに見えたのかもね」


笑いを噛み締めて話す原さんの言葉に複雑な思いを感じた。


(それは心配されたとかじゃなくて、惨めそうに見えたって意味か)