お願いドクター、毒よりも愛を囁いて

「いいか、チクッとしても動くなよ。指の近くには神経が多く通ってるから万が一刺し間違えでもしたら一生麻痺が残るかもしれないぞ」


「えっ!」


驚いてる隙にブスッと針は刺されてる。
躊躇することもなく刺した針から鈍い痛みが拡がった。


「いった〜」


昨日ほどではないけど痛い。
でも、それも最初の一、二刺しまでで。

後はじっと終わるまで見てられるくらいに痛くはなかった。
ドクターは傷の周囲に数カ所麻酔を注射して、少しの間待ってろと言って逃げて行く。


(ええ〜〜、置いてかれるの〜〜?!)


行かないで〜と泣き付きたくなった。
でも、彼は直ぐに戻ってきて、その手にはカルテがちゃんと握られてる。


「あんた、確か川島波南って名前だったよな」


間違いないかとカルテの名前を見せてくる。


「はい、そうです」


コクコクと頷くと自慢そうな笑みを浮かべた。

自分の記憶力がいいと思ったんだろうか。
カルテを捲り、昨日の記述の下に今日のことを書いてる。


その横顔は普通にイケメンでカッコいい。
真っ直ぐな鼻筋も素敵だし、昨日は気付かなかったけど睫毛も長くて多いんだ。