「ありがとう。新さん」


助かった〜と笑顔を見せ、一瞬過った怖さを誤魔化そうとした___



「お前は本当に俺の気持ちを引くのが上手い」


フッ…と唇の端を上げ、通行していく人達を避けるように壁際に寄る彼。始まるよ…と言いながら見上げれば……。



「いいんだ」


彼に押されて背中が壁にくっ付く。
壁との間で小さくなる私に寄り添い、そっと耳に囁いてきた。


「……ホラーよりも波南の笑顔を観賞したいから」


「えっ」


ドキン!と胸を弾ませるとキスが唇に落ちてくる。

こんな所で!?と思うけど___




(やっと昼間に聞けた……)


彼からの甘い囁き。
目を閉じてキスを受け取りながら彼にそっ…と願った。



お願いドクター、これからも毒よりも愛を囁いて____