心狭~っ!と胸の中で思ってたら、ドクターが車を路肩に停めた。

どうしたの?と振り向くと、そっちこそ何だと訊いてくる。


「俺が英里紗のことを好きだったとして、波南に何か関係あるのか?」


子供の頃の話だぞ、と渋い表情で言い渡し、そうだけどぉ~と肩を竦める。



「実は、あの……」


ライン上でのやり取りを話すと、ドクターは唖然としたまま呆れて___



「それを信じたのか!?」


覗き込むように聞いてくるから……


「いや、あの〜半信半疑と言うか…ですね」


さすがに略奪はないな…と思ってましたよ。


「信じたんだな?」


「いえ、全部ではないです!決して!」


両手を挙げて弁解した。
でも、それを聞いてくれそうにない彼の雰囲気を感じ取り、タラー…と冷や汗が流れた。



「お仕置きが必要だな。部屋に着いたら説教してやる!」


「ええ〜っ、勘弁して下さい〜っ!!」


お願いドクター、毒なんか吐かないで!


手を組み合わせて願った。
やっぱり今日は一番ツイてない。



(私は愛を囁かれたいのにぃ~!)


走り出す車内で一生懸命に願い続ける。



「お願い先生、毒を吐かないで!どうかツキのない私に甘い言葉を下さい!」


と……。