女性たちに告ぐ

社宅17

母親は、自分の子供だけに教育を施せばいいものの、なぜか、ご近所の子供と比較したがる。隣人の子供の成績が気にかかる。

我が子供が、隣の子供より劣っている。成績が悪い。「勉強しなさい」。さらなるプレッシャーが、子供に加わる。負担がかかる。

社宅だと、毎日のように、隣人たちと顔を合わせる。笑顔で一応、付き合っている。正直言って、苦痛だ。

子育て支援とはいうが、腹の中では、煮え繰り返っている。どうにかして、成績を落としてやりたい。困ったもんだ。

社宅だから、自分のふがない行動一つで、亭主の出世や給料にも響く。下手なことができない。最大限の見栄を張らないと、いけない。本音を言うと、疲れる。

「我々は友人はなくとも生きてゆける。けれども、隣人なしには生きてはいけぬ」。トーマス・フラー(ことわざ明言事典。創元社)