対して男はというと…
「俺は斎藤一。お前の拾い主でこれから…まずい。報告忘れてた。ここから動かずに少し待っていろ」
急に言葉に詰まったかと思えば、早口で告げ部屋から出ていってしまった。
「斎藤、一か…」
一人静かになった部屋でぽつりと自分の呟く声がやけに大きく響いた。
…どこかで聞いた名だ。
「…んー、どこだっけ」
「…おい、いいか。身体、動かせそうか」
気付けばいつ戻ってきたのか斎藤の姿。
「…何のために?」
「副長がお呼びだ。…団体行動が下手な奴らだから、出来ればお前に動いてもらえると助かる」
ふむ、と頷き少し考える。
その間も黙ったままの目の前の男。
「…わかった。その前に一つ」