「…ハクリ?」


あれ、寝てる。疲れてたのかな。

「一く~ん、ハクリさんは~?」

盃を片手にこちらへやってくるのは総司。


「寝てる。疲れが溜まってたのかもしれない。寝かせてくる」


ハクリを抱き抱える。

初めて出会った時よりはましだが、まだまだ軽い。

肉が付きにくい体質なのかもしれない。


「…斎藤」


「芹沢さん」


「すまないな。ハクリに酒を飲ませてたら…こうなって」


あぁ、彼が原因か。

まぁ、しょうがないだろう。

この人はザルだからな…。


「いえ、他の奴等のように馬鹿みたいに騒がない分、まだ可愛い方です。それより珍しいですね」


貴方がこんなにも一人の人間に気をかけるのは。


そう言うと少し困ったような照れたような曖昧な顔をされた。


「…こいつのことは、守ってやりたくてな」


周りから疎まれている人間とは思えない程に優しい顔をした彼は「頼んだぞ」と言って、副長たちのもとへと行った。


「ハクリ…お前はすごい奴だな」


腕の中ですうすうと穏やかな寝息をたてる少年を見下ろし、斎藤は微笑むのだった。