「どうした、平助」


「い、いや…今『鴨ちゃん』って…それ、もしかしなくても芹沢局長のこと…!?」


「そうだが…」


何かおかしかったかな、と首を傾げる。


「…ハクリって本当にすごいよね。ここであの人のことそんな風に呼べるのハクリくらいだよ」


複雑そうな顔で言う平助に「どういうこと?」と問う。


「…本当ならあまりこんな話はしたくないんだけど。あの人、組のために資金づくりしてくれてんだけど、その方法がちょっとさ…強引って言うのかな。そのせいで俺らも街では嫌われてて…あの人、上の方からも目ェつけられてんだ…。もし、あの人がこのまま変わらなきゃいつか消されるよ…」


消される――すなわち、殺される。


鴨ちゃんが…?いい人なのに…?


「…なあ藤堂」


「ん、何?…あ、今の話は内密に…」


「ここの…お前らの『上』って、どこだっけ?」