「…ったく。怪我したくなけりゃとっとと消えろっていう俺の優しさを…。次はどいつだ?」
鉄扇に付いた血を払いながら、じろりと男らを睨み付けた芹沢。
「こ、こいつめっ…!」
残った二、三人の男らも刀を振り上げ、芹沢に向かって行く。
――数分の後。
「はっ。口程にもねえな」
「…芹沢さん。派手にやりましたね」
「おっ、斎藤じゃねーか。いたんなら声掛けろって…ん?おい、そこの。名は?」
倒れている男たちを捕縛した後、斎藤が声をかけながら近づく。
対する芹沢といえば先程までの戦闘を感じさせない顔で応え、手を上げた。
「ハクリ、さっき言った通りこの人が芹沢鴨局長。…自己紹介、できるか?」
「…それくらい出来る。どーも、ここの人に拾われました。ハクリといいます」
「ふん。一応礼儀はちゃんとできるんだな。ガキ」
これが冒頭に至るまでである。