「…斎藤。戻りたい」

「もう少し頑張ってくれ。あとで何か食わせよう」


大の男たちが十人近く入る大きな部屋。

そこに連れてこられた私は、斎藤の身体に隠れようと努力していた。


「へー、こいつが総司たちが見つけた奴?ちっせーな!」

「平助、お前が言えることじゃねーだろ」

「しんぱっつあん!俺小さくねーよ!?」



「…くねーし」

「どうした?」


ぼそりと呟く声に反応した斎藤。

だが私はそれに構うことなく「平助」と呼ばれた青年を睨む。


「ちっさくねーよ!お前の方がわんこだろっ!」


「……は?」

「ぶふっ!」


身長とわんこは何の関係もないのだが、腹がたったので取り敢えず叫んだ。

身長のことはこれでも気にしているんだ。

私の身長は150と少し。せめてあと少し出ていくと嘆いたものだ。

そして私が隠れている斎藤はといえば170ちょい…くらいだろうか。

これだけ差があれば小さく見えるのも当然なのだが…腹が立つ。