もう少しだけ、時間がほしい。


『心配かけてごめんね‼ もう少ししたらきっと行くから‼』


 楓のメールにそう返事をして、携帯を閉じた。

 はぁ……と大きく漏れるため息。


「ねぇ、星」

「ん?」


 落ち込んだ気分を紛らわしたくて、星に声をかけた。


「星は……、もっと生きていたかった?」

「当たり前だろ。だから、未練があって成仏できないんだろうな」

「え、そうなの?」


 星の未練ってなんなんだろう……。
 気になったけれど、これ以上踏み込んじゃいけない気がして聞くのをやめた。


「美月。俺だからこそ言えるんだけど、明日って絶対にあるって限らないだろ?
 だから、やりたいこととか伝えたいことがあるなら絶対後悔しないようにしとかないとな‼」

「うん……」


 星の言葉が心に染みて、目を閉じると頭にふわっとした柔らかい風を感じた。
 撫でられているような不思議な感じ。

 星が触れてるのかな……。


 朝からあれだけ寝ていたのに、私はゆっくりと眠りについた。