「よしよし、大丈夫か?」


 ……は⁉

 起き上がってみると、目の前にはさっきのおばけ男がいた。
 しかも、クッションの上で律儀に正座をして……。


「な、何であんたがここにいるの⁉
 玄関の鍵だってしっかりかけたのに‼」

「だって、俺幽霊だからさ。壁くらい通り抜けれると思わねぇ?」


 そ、そんなのありかー‼

 
「ありえない‼ すぐ出て行って‼」


 枕を投げつけるも、スッとすり抜けてクローゼットに当たった。

 本当におばけなんだ……。

 再確認して、諦めた私は暴れることをやめてベッドに座りなおした。


「あなたがおばけなのはわかった。でも、何で私に付いてくるの?」

「んー、なんか気になったからかな」


 何それ、答えになってない気がする。

 だけど、悪い奴……ではなさそう?

 少し警戒心も溶けてきて、とりあえずお互いの名前を教えあうことになった。


「私は、神崎 美月(かんざき みづき)」

「美月か‼ いい名前だな」

「あ、ありがとう……」


 名前を褒められたのは初めてで、素直に嬉しかった。


「あなたの名前は?」


 そう聞くと、何だか頭を抱えて考えるふりをした後ポンッと手を叩いてこう言った。


「俺の名前は星(せい)。 よろしくな‼」