「はぁ、はぁ……」
家に着いて勢いよく玄関の中に入ると、すぐに鍵をかけてその場に座り込んだ。
いつぶりだろう、こんなに走ったの……。
息切れヤバイ。心臓が口から飛び出してきそう……。
荒れる息を整えていると、騒がしくしすぎたのかリビングからパタパタと久美さんが走ってきた。
「美月ちゃん⁉ どうしたの、大丈夫⁉」
「だ、大丈夫です……」
目を合わせることができず、私は立ち上がって自室へと向かった。
あぁ、見なくてもわかる。きっと久美さん、今悲しい顔してる。
部屋に入って、ベッドに倒れこむ。
何で私って、あんな可愛くない態度とっちゃうんだろう。
久美さんは私の義理母で、会社では父さんの部下だったらしい。
歳は、確かまだ30代前半だったはず。
三年前に入籍して、一緒に暮らすようになったけど今だに仲良くできない。
だって、私のお母さんはたった一人だから。
私が3歳の時に病気で亡くなったから、あんまり覚えてはないけど……。
それに、唯一の肉親である父さんも三カ月前に不慮の事故で亡くなってしまった。
悲しくて、辛くて、余計久美さんとの接し方もわからなくなってしまった。
それからは、学校にも行かないで一日中部屋に引きこもっている状態。
「ホント、私ってダメなやつ……」