朝は嫌いだ。
 カーテンの隙間から差し込む日差しも、学校に楽しそうに行く家の前を通る小学生達の声も。
 全てが鬱陶しく感じてしまう。

 だけど、さらに私の気を重くするのが……。


「なー、美月。今日も学校行かないのか?」

 
 この、爽やかボイスのこいつ。
 朝から耳元でこの声は、色んな意味で辛い。


「行くわけないでしょ」

 
 布団から起き上がって部屋を見渡すも、声の主の姿はない。
 いや、正確には『見えない』と言った方がいいのか……。


「あんた、今どこにいんの」

「お前の目の前にいるよ」

「あっそ」


 短い会話を終わらせ、布団を頭から被って目を閉じる。

 もうこの妙な光景にもなれてしまった。

 そういえば、もうこいつと出会って一ヶ月くらい経つっけ。
 あの時はビックリしたな……。