「嘘じゃねえ」


それ以上僕らの間に言葉が入り込む余地は見つからなかった。


余地なんて言葉がはたして正しいのかどうかさえも正直定かではないのだけれども。


ただ言えるのは、ひたすらに、言葉にならない気持ちが、この空間に渦巻いていたということだった。


声にならない感情か、言葉にならない現実が、僕らを苦しめる。


夢であってくれ。


ただそう願うばかりだった。


どうか悪い夢であってくれ。


目が覚めたらいつもの通り自分の部屋のベッドで、目覚まし時計の音で目が覚めて


お袋が毎朝つくる定番の味噌汁の匂いが家中漂っていて。