(――きっと、俺はひかるちゃんを不幸にさせる)

自分がそばにいたら、彼女を不幸にさせてしまうだけだ。

もしかしたら、自分がいない方が彼女は幸せになれるのかも知れない。

(――この人なら、ひかるちゃんを幸せにしてくれるかも知れない)

チラリと伊崎に視線を向けると、彼はカップに口をつけてコーヒーを飲んでいた。

自分のせいで、自分の借金で、ひかるの人生をめちゃくちゃにしたくない。

子供の頃からずっと好きで、やっと両思いになったひかるから離れたくない。

でも、ひかるを不幸にもさせたくない。

豪は口を開いた。

「――わかりました」

豪は言った。

深呼吸をして自分の気持ちを落ち着かせると、
「――ひかるちゃんの前から、いなくなります」
と、言った。