唇を離すと、ひかるは豪を抱きしめた。

「借金を返すことがどれだけつらいことかはわかってる。

でも、2人でならできるはずだから…!」

ひかるは言った。

豪の両手が震えながらだけど、ひかるの背中に回った。

「――ひかるちゃん…」

呟くように名前を呼んだ豪に、
「もう大丈夫だから…。

もう何かあったら我慢して、1人で解決しようと思わないで…」

ひかるは言った。

「――ッ…」

豪は声をあげて泣いた。

あの頃と同じだと、ひかるは思った。

気持ちもあの頃と一緒である。

豪が困っていたら手を差し伸べて、豪がつらい時は助けてあげよう。

同じ気持ちを思いながら、ひかるは豪の背中をポンポンと優しくたたいた。